リバプールとビートルズ
5/24-26
5/24(月)
この日も晴天。Nがヒースローまで送ってくれて、そこで予約していたレンタカーを受け取る。日本では当たり前になったカーナビ、これがこの地では普及段階でなかなかカーナビ付きのレンタカーが事前予約できなかったのだ。Nが旅行社に頼んでなんとか予約をしておいてくれたのだが、ホテル近辺には無く、ヒースロー空港まで行かなくてはならなかったのだ。最初頼んでおいたはずのベンツ180がいつの間にかボルボのCX60になり、しかも料金が倍近くになっていたのは解せぬが、新車でカーナビも後付ではなく内蔵の最新型だったので良しとしよう。実際私にはカーナビが絶対無くてはならないモノだったのだ。わざわざ月曜日の朝に一時間以上もかけて送ってくれたNに礼を言い、さっそくドライブの開始だ。
最初は緊張したが、しばらくすると慣れてきた。イギリスは日本と同じ左側通行だ。ただ交差点が日本のように十字ではなくたいていラウンドアバウト(ロータリー式)になっているからそれに慣れるのに時間が掛かったのだ。
つまり、左折をしたい場合は左側車線に入りすぐに左に回らないといけないが、右折をしたい時にはロータリー内側に入り、三番目の道を出なければならない。ラウンドアバウトは必ず中の車が優先だから、右方向から来る車が優先ということだ。図のような簡単なラウンドアバウトだけではないから、最初はけっこう戸惑う。私の場合は都合7、8回間違って出たり、出損ねたと思う。しかし出損ねてもロータリー内を再度回ればいいのだが。おまけに(もちろん)カーナビ解説は英語だから"Enter the next round-about and take the second exit"たら、"Turn slighty left"たら流暢に喋ってくれちゃうもんだから冷や汗ものだ。しかし使われる言葉は限られているのだから、これもすぐにOK。
ロンドンからリバプールまでM6という高速道路でほぼ4時間。午後1時には予約しておいたマリオットホテル(写真左)に到着した。車をホテルの駐車場に置いて、チェックインまで町を散歩する。
雰囲気のある港町リバプール。ここにポールやジョンが生まれ、このあたりを徘徊していたのだと思うと奇妙な感慨が胸に湧く。突然決めたイギリス行きだったが、実はこの旅行はずいぶん前に決まっていたような錯覚・・・いつかはここに来たいとずっと思っていたに違いない自分の心が自分をここに連れてきたのだ。私の青春はビートルズの曲がバックグラウンドに流れている。どんな情景を思い出しても、そこにはいつもポールやジョンの歌声が流れているのだ。
地図で探し出したマシューストリート。ジョンがキャバーンクラブの前に立っていた。同じ格好をしたつもりだが、左手はジーンズのポケットに入れねばならなかった。ま、いいか。
CAVERN CLUB。少し場所が変わったが、今も当時と同じ造りで営業している。委細後日。
Lennon's Bar 演奏帰りにジョンが良く立ち寄ったというバーもこのマシューストリートにある。5時を過ぎていて土産物屋も閉まっていたのでクラブには寄らず、リバプールの町をもう少し散歩することにした。
アルバートドック・・・ここを歩くと少し北海道の小樽を思い出します。リバプール港の造船所跡を利用した商業施設です。この時間は飲食店以外みな閉まっています。こんなに明るいんだからやればいいのに・・・と日本人は思います。でも英国人には英国人の考え方があるのですね、はいはい、分かりましたよ、休んでください。どっかの喫茶店みたいに、日月休みと決めたらきっちり休めばいいんですよ、採算度外視でね。
どうもパブに入る気がしなくて・・・2夜連続でやっぱりついつい好きなイタリアンに入ってしまった。店の感じが良かったんですよ。で、入ったらやっぱりスタッフもイタリア系、ラテン系の発音の英語が良い雰囲気。イギリスではペンネはアラビアータが定番らしく、メニューにもそれしかなかったのでペンネゴルゴンゾーラは作れるのかを聞くと、嬉しそうに「出来ますよ!」と言って作ってくれたが、日本で食べるのと同じ味で大変美味しかった。イギリスに来てイギリスの味を回避しているのも気が引けるが・・・じゃあ明日はローストビーフでも食べるか・・・。
5/25(火)
TVの天気予報によると25日が曇りで26日が雨模様と言っていたので、今日湖水地方のドライブに行こうと決めた。こうやって自由に日程が組めるのがツアーでない旅行の良いところだ。イギリスという国は面積だけ言ったら日本の半分ほど(人口も半分)だが、日本と違って圧倒的に平地が多い。ロンドン→リバプール間も山はひとつも無く、ちょうど北海道のように広々とした平地と丘陵が続く。平地面積だけ言うと日本よりはるかに広い国なのだ。湖水地方はリバプールの北にある、自然の美しい村が点在する、ピーターラビットが生まれ詩人のワーズワイスが住んだ地方だ。
ウィンダミァの町。ロンドンで人気者になったのが忘れられず、この日も和服のじょしゅ。確かにこの風景と和服というのは妙にマッチングしている。いや、逆に何百年もの前の町並みと、やはり何百年もの歴史を持つ着物のコラボレーションが違和感を感じさせないのが当たり前かもしれないと思い直した。じょしゅが花屋を見ていると横の店から二人の婦人が出てきて「ほら、素敵よ!ゲイシャがいるよ!」とか言っている。
「写真を撮らせて!」と言ってきた女性。帯が珍しいらしく、後ろからも写真を撮る。いつの時代もどこでも、女性とはファッションに敏感な生き物だ。こういう場合当然ながら皆私のことは無視・・・う〜ん、今度オレも着物着てやろうかなぁ・・・。
イギリスってのは石が一杯採れるとみえて、ふんだんに石が使ってある。牧場なんかも仕切りに柵ではなく延々と石積みがなされている。その労力を考えただけで気が遠くなるほどだ。このあたりは家もレンガではなく石で造られているものが多い。
ピーターラビットの作者のビアトリクス・ポター。彼女はここボウネスの町でピーターラビットの話を書いた。ここはその記念館みたいなところで、物語に出てくるキャラクターがリアルに人形で作られてある。
小さな記念館だったがちゃんとイングリッシュガーデンが作られていて、専門に世話をする人が居ました。英国人の庭好きは本物ですね。どんな小さな家でも必ず庭が作られていて花が咲いている。このタウンスケープこそがイギリスの一番のイギリスっぽいところだと感じました。
出ました、お約束のイングリッシュランチ。ローストビーフ定食とローストターキー定食です。飲酒運転はうるさくないので半パイントのビールも。・・・いやぁ・・・ビール以外はおいしく無かったです。このほかにパンもスープも付いているのですが、いやぁ、まずかったです。特にこのクッタクタに茹でた野菜と茹でたジャガイモがあるのに平然と焼いたジャガイモ付け合わす感覚・・・。やや大味な肉にかかった切れの無い、得体の知れないソース。相対的に食っている間にだんだん下がってくるテンション・・・やっと本来求めていたイギリスの味がこの日味わえたのでありました。やったね!。
道端に生えていた蕨。Nも言っていたが、誰も採らないので根が太く、極上のものが一杯生えている。つい習慣で摘んでしまうじょしゅ。
途中きれいなところがあると車を停めて散歩したり写真を撮ったり。街もいいが、田舎もいい。移動手段に車を選んだのは多分正解だったと思う。田舎だと駐車場も苦労しない。
この石積みですよ、コレ。コレが延々と続いているんだから・・・。いつ、誰がって思ってしまいますね。イギリスに来て初めての山が見えた。この先の峠で引き返し、リバプールに帰ることにした。
途中ランカスターの町に寄りリバプールに帰ると、街はオールドカー祭りみたいなことをやっていて賑わっていた。その横で軍が「イラク戦争の犠牲者に!」と募金活動を行っていた。イギリス軍の戦死者はすでに三百人を超え、しかも名誉の戦死というだけで保障も何も無いという。イラクに赴任するだけでいろんな手当てが貰え、なおかつ戦死どころか怪我でもしようものなら大問題となる日本とは大違いだ。スコットランドのバグパイプを一生懸命吹いている若き兵士。写真を一緒にとってもいいかとシャッターを押す真似をすると、必死で頬を膨らませながら頷いてくれた。夕食は三度目と分かっていてもイタリアン。もう昼にイギリスの味は堪能したので、何を食うのか考えたが、ホテルの隣にあったこのレストランに入ったのだ。しかしやたら辛くて旨くなかった。ううむ・・・今日の食事は外れだな、外れの日だったんだきっと。
5/26(水)
ホテルから歩いてリバプール大聖堂。世界遺産だ。よくもまあこんな何十メートルも石を積み上げたものだ。
この写真を見ると分かるが、ひとつの石がこんなに大きいのだ。昔だから機械なんて無いでしょ?水平をとりながら正確に組んでいくなんて・・・上まで石を持ち上げて積むんでしょ?・・・無理だよ、無理。
ほな、ビートルズ、再び行ってみまひょかー!!今日はいろいろ休みだった店も含めて一日をリバプールの町歩きに費やすことにしていた。実際ビートルズ関連で行くところは一杯あるのだが、たとえばポールが生まれた家とか、ストロベリーフィールズとかね・・・しかし私は、なんと言うか、ビートルズは好きだがあくまでも音楽として好きなのであって、「キャー!コレがジョンレノンの生まれた家なのね!」といった風に楽しむ感覚はあまり無いということだ。あくまでも私の青春がビートルズの音楽とともにあったという意味で「自分の中のビートルズ」を懐かしんでいるのである。
アルバートドックの一角にあるビートルズストーリー。ヘッドホンを借りれば日本語説明も聞ける。出口はスターバックスコーヒーとビートルズグッズのお店に直結している。懐かしい気持ちで一杯になったところで貪るようにグッズを買い漁れるようにセットされているのだ(笑)。それではビートルズストーリーの始まり始まりぃ・・・。
クォーリーメン時代のジョンと弾いていたギター
ここアルバートドックで撮影された4人
ビートルズを初めて紹介し有名にしたマーシービート社のデスクの再現
キャバーンのセット。ポールのヘフナー、ジョンのリッケンバッカーも置いてあります
イエローサブマリンの内部!なんで金魚が泳いでんの?
誰よりも太っているじょしゅ
さらば栄光の日々
私としては心打たれた風景・・・イマジンが聞こえてきそうだ
ビートルズストーリーを出ると目の前に、遊園地でもないのに観覧車が・・・ロンドンアイと違って乗る箱が小さいので危険な部類の観覧車だ。私が無視して通り過ぎようとしているのをじょしゅが太い腕で引っ張り、私を連れて行った。係りの人に何回まわるのかと聞くと、3回まわると言う。おいおい、一回でいいって。回る速度も速くて危険だ。危険だからほとんど誰も乗っていない。それでも3回りしてやれやれと、降りる準備をしていると更にもう一回まわるではないか!。サービスのつもりだろうが大きな勘違いだ。
遅い昼飯はじょしゅがガイドブックから探した日本食レストランに行った。昨日行こうとして見つけたのだが、休みだったのだ。そしてここで食ったこのカレーライス。コレが衝撃的に旨かった。試しにひとつだけ頼んだのだが、一匙食ってみて「これは(カレー大好き人間の)じょしゅと奪い合いになることは必至である」と見当が付いたのですぐさまもう一皿頼んだのである。昨日のまずい食事のせいもあったと思うが、イギリス旅行で一番美味しかったものがカレーライス!だったなんてね。
夕方の4時から開演と知っていたキャバーンクラブのジョンレノンショー。いわゆるジョンのそっくりさんがギター一本で歌ってくれるのだが、声といい顔つきといい、本当に良く似ていた。聞いているうちになんだか本当のジョンが目の前で歌ってくれているような気がしてきて・・・胸が熱くなった。考えてみればジョンはもうこの世に居ないわけだし、仮に生きていたとしてもお爺さんなのだから、私の目の前で歌っている彼のほうがより私の中のジョンに近いわけだ。観客のリクエストにも応えてくれたが、私が"across the Universe"をリクエストすると、「おお、それは素晴らしい曲だ、サンキュー!トーキョー」と嬉しそうに言ってくれたのが私としても嬉しかった。ビデオを持ってくればよかったと思ったが、車に置いてきていて、一応デジカメの動画には彼の演奏を撮ってありますが。
you tube → http://www.youtube.com/watch?v=1MXOdw267Hc