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中国・黄龍と九賽溝
近年になってNHKをはじめ日本のTVに登場するようになった黄龍(コウリュウ)と九賽溝(キュウサイコウ)・・・今中国人が一番行きたい観光名所らしいが時期と条件が難しい。標高3000メートルを越す高地のため11月から4月は雪のため閉鎖に近く、夏は雨が降らないと水量が減り観光としてのレベルが下がる。しかも晴れていないと水の色がどうしてもイマイチとなるし、いい時期になると人も多数押しかけて大混雑となる・・・だから一番いいのが九月下旬なのである。いや、10月の初旬が紅葉もはじまり一番良いのだが、中国では国慶節の長期連休になるためこぞって人が押しかけるので各地のホテルや観光地は超混雑となるため、やはりこの時期がベストらしい。
ここはどこだ!本当に中国なのか!ってくらい澄み渡る空に連なる連峰。スイスにでも来たような気分だ。ここは中国四川省の中でも秘境であり、2年前に九賽溝空港が出来る以前は成都からバスで2日ぐらいかけて来なければならなかったという。最近になってやっとこの地が有名になってきた理由が分かるだろう。もちろん昔から住んでいるのは漢民族ではなくチベット民族だ。
観光地としてのインフラも整ってきて、去年だかにロープウエイが完成し、それまで足で登っていたのが誰でも行けるようになったのも観光客増大の大きな要因である。しかも上に着くとこんな木道が整備されているのでラクチンこの上ない。このままゆっくりと2、3時間かけて川伝いに降りてゆくだけで景色が堪能できるという仕掛けだ。
ロープウエイ駅から歩いて15分の最上段の五彩池。ここから川の水に多量に含まれる石灰が作り出す神秘の造形が始まるのだ。石灰層ということは昔ここは海だったということで、人間時間を越えた大自然の営みがいつものことながら胸を打つ。
流れの中で落ち葉や枝が引っかかり、そこに石灰が付着してこのプールの成型が始まるらしいが、それにしてもこの均整のとれたランダムさが美しい。不規則な形が集まっていながら一種の崇高な均一性を感じるのは私だけではないだろう。例えば森にしたって、生えている木は一本一本がそれぞれで違うのだが、集って森を形成するときには別の景観が生まれるように・・・さまざまな曲線や底の深さに起因する色なども含めて、全体として人には真似の出来ない神秘の造形が目の前にあった。
この池が一箇所あっただけでも観光名所になるだろう。凄いのは」この景色が全てではなく、延々と下流まで続くことだ。石灰水は時に大岩盤となり、時に大滝となりながら、何キロかを流れ下る。
出来かけているダムの様子
何かの理由で水が流れなくなり干からびたダム
下流の壮大な滝
おお、エーデルワイスが・・・同じ3500mでも緯度の違いで日本より植物が豊富
黄龍から今夜泊まる九賽溝シェラトンホテルへと向かう。その間に4000mの峠があるのだがバスの乗客の一人が眠っていて酸素不足により意識を失い酸素ボンベで生き返った・・・私はなんともなかったが、数人が頭痛や吐き気に見舞われた。一人一本の酸素ボンベは必須用具として旅行社が用意している。じょしゅは散歩中にも時々コレを吸い、「あ、やっぱり楽になった!」とはしゃいでいたが、案外本当かも知れぬ。このあたりは存在感のある山でも名前のない山が殆どらしい。名前をつけるほどの需要(人口密度)も無かったからだろう。