9/24
昨日の夜、o_kiraku氏と焼肉屋でビールを飲んでいると、なんとそこにマイタケの入ったビニール袋をぶら下げたオッサンが入ってきた。見事な成菌である。近くで採ってきたという。我々が闘志を掻き立てられたのは、言うまでも無い。
鳥甲山
今日も晴天であった。一風氏が教えてくれた秋山郷のポイントについたのは9時過ぎだった。あたりはたしかにミズナラの大木が点々としている。ちょっと様子見に…とてんでバラバラに入った山で私がいきなり道に迷い、o_kiraku氏が捜索に汗を流す。迷うと言っても降り口を見失っただけだが、少しあせった。メンゴ!
鳥甲山の登山道を少し登り、右手のブナ林に入る。私は上に、o_kirakuは下に。少し急斜面だが、なかなか雰囲気の良い山だ。しばらくして、
「オ〜イ!!!」
とo_kiraku氏が叫ぶ声がする。この叫び声は、ヒラタケを見つけたものではない。ヤッタ〜とも聞こえる。声のするほうに向かうと、マイタケ、マイタケ…と声がする。ついに発見したようだ。
木に辿り着くと、o_kiraku氏が、やや興奮状態である。指差すほうを見ると、たしかにマイタケが根っこの祠の奥に、鎮座している。鎮座という表現はこの際、適切である。マイタケは特別なキノコなのだ。生えている…などと言う表現は慎まねばならぬ。昨日の株より開いていて、小株と言えど、立派なものである。これで遠征隊が3人とも自力発見をしたことになる。良かった良かった。やはり自分が見つけないと、本当の思い出にはならぬ。
トチの実を拾う。昔の人は大きくて立派な、それでいてアクが大変強くて苦いこの実をなんとか食べられないかと工夫した。茹で、流水に浸すこと一週間。それを干して砕き、粉にした。餅に入れるとトチモチ、煎餅を作る時に入れるとトチノミ煎餅。どちらもトチの香りとコクが、大変美味しい。岐阜でも飛騨地方の名物となっている。
近くのミズナラというミズナラを見て回るが、無い。多分、人が何度も探しに来ているのだろう。足跡もある。そういう意味ではo_kiraku氏の発見は大変貴重な発見だったのかもしれない。
ミズナラ大木
マイタケには2種類あるみたいだね、とo_kiraku氏と話した。真っ黒なものと、やや白いもの。それに生えている木も、一風氏が言ってたように「元気な」ミズナラと「枯れかかった」ミズナラ…。今日のマイタケは後者に属する。半分枯れたミズナラの祠と根元に直接生じていた。反対に昨日のマイタケは木の幹から離れた場所に立ち上がっていたのだ。たしかに元気なミズナラに…。ちょっと考えただけでは分からない。
昼を回って、我々はマイタケ探しを打ち切った。腹が減ったからだ。山を降り、近くの切明温泉に向かった。そこでビールを飲み、飯を食った。
o_kiraku氏はいわゆる「温泉キチガイ」だから、多分この旅行の準備段階で、この地方の温泉をいろいろ調べてきたに違いない。実際ここに来るまでに、秋山郷だけでいろいろな温泉があった。多分いろいろな温泉に浸かることを楽しみにしてきたことと思う。しかし彼にとって不幸だったのは、彼の乗った車の運転手があまり温泉好きじゃなかったことだった。どちらかと言うと風呂なんて一日一回夜入ればいいさ…という考え方の人間だった。
しかしこの切明は川原に温泉があるらしい。それはたしかに面白そうだ、さっそく行ってみよう…こんな温泉なら入ってみても面白い。先般の東北旅行の時に入った青森の不老不死温泉…あれは大変気に入った私である。海で泳いでそのまま温泉に浸かれるのだ。そんなシチュエーションが面白かったのである。
これがその温泉だ。右手の岩場あたりから50度以上の熱泉が自噴している。そのままでは熱いから沢の水の流れを適当に引水し、温度を調節して入るのである。面白そうだが、我々が行った時は女性も含めて何人かの見物客がいて、さすがにそこで素っ裸にはなりにくかった。水着を着て入っている女性が一人いた。我々は顔を見合し、『上の温泉に入りますか…』ということになった。見かけによらず、私は恥ずかしがり屋なのである。
4時ごろにo_kiraku氏を湯沢まで送る。上越新幹線で、ここから1時間半で東京だという。大変近い。近すぎる。だからスキーなんかはけっこう東京からの客で混むらしく、ホテルなども立派なやつがたくさん建っている。喫茶店に入り、少し休んで5時ごろ、握手をして別れる。
その足で、我々は信州野沢温泉を通り越し、長野、松本、上高地を通り過ぎ、飛騨高山で宿を取った。あと一時間ほどで趣味千山である。こんな近くで泊まったことなど一度も無いが、明日は夕方には岐阜で仕事がある。午前中を有効に過ごす為には、我々のキノコフィールドに近いところに泊まった方が有利だと判断した。オジサンには、時間が無いのだよ(友人Oの口癖)。