touring diary 2006/7/5-13 A
7/7
朝起きると小樽は曇り。よし、雨がやんだかと喜んで出発したが、海沿いに石狩に入った直後に細かい雨が降り出した。細かい雨はヘルメットのシールドに細かい水滴でへばり付き、大雨の時より前が見にくい。やっぱり雨はバイクにとっては大敵だ。スリップが怖いのでスピードも出せないし、寒いし、疲れるし、景色も悪いし面白くない。だから時々雨がやんで写真のような景色に出会うと、それがことのほか嬉しく、心にしみる。考えようによっては、こういう雨の日があるから晴れた日の爽快さが倍増するのである・・・と心に言い聞かせ、柏木まで走る。 牧草ロールというのはこちらでも河川敷なんかで見かけることはあるが、やはり北海道の風景を代表しているね。
雨はやみかけていたが、昼になったのと体が冷えたので看板を見てこの浜益温泉に駆け込んだ。温泉嫌いだった私だが、最近になって温泉の良さが分かりかけてきた。「体をあっためるということ」が良いことだと最近知ったのである。これって 歳取ったってことか?。ここで飯を食って温泉に入った後、この温泉の前の道が旭川方面に通じていると知り、この道で旭川に向かうことにした。本当は海沿いに留萌まで走ってそれから旭川方面に入る予定だったが、雨もやんだので滝川市からさらに東に進み、富良野を走ってみようかという気持ちになったのだ。
この151号線といい、滝川から富良野までの38号線といい、岐阜あたりの山道だったらライダーズマップにでも載りそうな快適ラインである。北海道だから目立たないだけで、実際走るとカーブもゆるく道も広い。おまけに車は少なく、信号も無い・・・というわけで、まったくもって快適な道が続く。いつもは助手の走りにイライラしっぱなしの私も、こんな道では何の心配も無く走ることが出来る。助手のほうも心なしか運転が上手になったような気がするが、これは例えば実力の無いスキーヤーが超パウダースノウで滑り、「あ、私ってけっこうスキー上手いじゃん!」と思ってしまうのと似ているかもしれない。しかしこんな道が続くなら、私は胃潰瘍にならなくて済むかもしれない。
富良野には5時ごろに着いた。ラベンダーはまだ少し早く、各所にある花公園もボチボチの人出。下の写真は有名な美瑛にある「マイルドセブンの木」だ。古くて大きなイチョウの木がパッチワークの丘にポツンと立っている。
曇り空だが雨は完全にやみ、午前中の雨体験もあって、晴れていなくてもすごく幸せな気分。幸せとはやはり相対的なものである。ゼファーにくくりつけてある傘がなんとなく雰囲気出てるでしょ?(笑)。6時ごろ旭川に到着。駅前のワシントンホテルにチェックインして旭川の町に繰り出す。いろいろと回ったが結局居酒屋横丁みたいなところで少し雰囲気のいい小さい店を見つけて入る。なかなか雰囲気のいいオネーチャンが焼いてくれるネマガリやらホッケに舌鼓を打った。旭川といえばあの南氏の住んでいる町だが、時間もはっきり分からないし、急に電話をするのも失礼かも・・・と連絡をしなかった。 相手のことを考えるようになった最近の私は少し大人になっているようだ。ビールと焼酎水割り1杯。
7/8
9:00旭川出発。とりあえず道央道で士別まで走り、239号線で海沿いに戻り、232号線から106号線のオロロンラインを走る予定である。途中道央道ですぐ後ろを走っていたはずの助手 の姿が突如見えなくなる。?????・・・少し待っても来ない・・・分離帯のある場所で、引き返すことも出来ない。(汗)(汗)(汗)・・・ぶちコケたか?後から来る車が何も言わず通り過ぎる し・・・ううむ・・・死んだか?・・・やがて遠くからのんびりと走ってくるのが見えて、心底ホッとする。言い訳によると、突然エンジンが止まったという。???・・・キルスイッチ押したんじゃないのお?。 ん?。。。その後は前を走らせるが、マイペースな走りは揺るぐことが無く、後ろから車が来ても(この道は一車線)まったく気にしないので、私が路肩に寄りクラクションを鳴らすと気づいて路肩に避ける・・・こんなことを繰り返しながら239号線に入った。あー疲れるう〜 胃が痛い〜。
士別で239号線に入って苫前町までは車5台ぐらいを見かけただけ。素晴らしく空いた道だ。しかし北海道、確かにこれでは対費用効果が少なすぎるよなあ。高速道路も空いているし、何を作っても赤字だろうなあこれでは。夏の観光だけでは限度があるよなあ・・・走行中にこういったことを考えながら走っていると、突然海が開けた。ヨッ、これからが本番だぞ!。写真を撮ってやろうと助手を前に走らせると、追い越し禁止にもかかわらず前の大型トレーラーをあっという間に抜き去った。カメラを構えて片手運転している私のことなどお構いなしである。あとで言うと、「だって排気ガスが臭かったんだもん!」だとさ。
天気の良い日で、爽快さはこの上ない。サロベツの106号に入ったとたん、海と草原が広がる。これがライダー憧れのオロロンラインである。もう理屈抜き、ほとんどまっすぐな道をひた走ることだけが神から与えられた仕事だ。左手の海には利尻島が影を写し、何にも考えずにただ初夏の風の中で風景を 体一杯感じるのだ。
バイクという乗り物はこんな日とこんな景色の中では最高の乗り物となる。このために遠路はるばるやってきたのである。だから北海道を走るバイカーは必ずといっていいほどすれ違いに手を振り合う。この手を振るという行為は、昔(私が若かったころ)はどこでもみんなやっていたことである。バイク乗りには少しアウトロー的な心理状況があって、逆にそれが仲間意識を生み出し、だからすれ違うとなんとなく合図しあっていたのである。ところが最近それが少なくなっている。そして(乗っていない人には分かりにくいが)同類のバイカー同士には挨拶するがそうでないと挨拶しない・・・みたいなところもあって、こちらも手を上げずらい場合もある。例えばアメリカン同士はひょいとサインを交し合い、同じヤツがオフローダーは無視するとか、なんとかみんなで手を振り合えるような雰囲気があるといいんだけどね、バイク文化が少し消えてゆくようで寂しい。そして意味合いは少し違うが、それが北海道にはまだ残っているということだ。ところで助手は相手の挨拶には首を振るぐらいで、片手で挨拶を返さない。理由は私にも良く分かっている。運転中は怖くて手が離せないのである。
サロベツ湿原に寄る。こういうところにさえ連れて行けば助手は喜んでいる。考えてみれば単純なヤツである。何種類もの花が咲き、空も湖も美しかった。暑くも寒くも無い。バイクは快調。これ以上のことが何かあるか?。幸せとはこの時点を指す。
晴れといっても北の大地の天候はすぐに変わる。海沿いのせいもあるだろう。ノシャップ岬に着いた時は曇っていた。曇ると急に涼しくなる。大体晴れると25度、曇ると21度、日が落ちると17度前後が平均気温だ。岐阜では4月の陽気かな?。稚内はもう目と鼻の先だ。この時期ライダーは少ない。夏休みに入るともっとたくさんバイクが走っているのだろうが、敦賀からのフェリーでも15台程度だった。三年前に夏休みに来た時は確か50台以上だったことを思えば、その寂しさが分かる。ノシャップ岬で記念撮影。夜は南稚内駅という寂しい寂しい駅前の居酒屋で飯を食う。タコシャブを食いたかったが無かった。生ビール2杯。