親不知 OFF会−2/2 20・21/07/2003
持ち寄り昼食会
昼食には活二が地元の刺身を奮発してくれた。おかげで何とか昼食会らしくなった。これが無かったらイワガキとパンとサクランボをみんなでつつかねばならなかったところだ・・・。とにかく身体を動かした後は爽快である。腹も減って、何でも美味しく感じられる。ふと気がつくとさっきまで寝そべっていたsonetaが横に座って刺身を食っている。軟弱モノだが復活は早いとみえる。と言うよりsonetaにしてみれば今までが前座みたいなもので、これからがいよいよ本番だと・・・そんな元気で起きてきたに違いない。皆さん、海に浸かって身体も冷えたでしょ?ん?・・・早く温泉で温ったまりましょ!てなことを、いつものように口には出さないが全身で訴えている。そして実はこんなsonetaに強力な援軍がいたのである。nomo16夫婦である。このヒマジンズカップルはなんと温泉マニアでもあったのだ。時間を持て余し、やることもやりつくして温泉行脚に行き着いたのが、いや、行き着きかけているのがこの二人であった。なんでも私の地元の下呂温泉にまで足を伸ばしていると言う。ムムム・・・。
ナントカ温泉にて photo by 入浴客
でもって、飯を食い終わった我々はナントカ温泉に向かった(名前を本当に忘れてしまった)。そこで私としては長時間湯船に浸かり、頭がボーッとしたところで湯上りにnomo16に『やっぱり明るいうちに温泉に入るのはイカン、なんかこう気だるくて、ボーッとして何にもやる気が起きなくなるからなぁ・・・』と話しかけた。私としては軽い気持ちで彼に同意を求めたわけだ。同意させておいて、だから温泉なんか若いうちから入るもんじゃない、などと講釈をたれる・・・そんなつもりであった。ところが彼はそれを聞いて即座に『・・・そこがいいんじゃないですか!』と断言した。つまり温泉に入りボーッとして気だるく、動きが緩慢になる・・・これが温泉に入る理由だと言い切ったのである。この言葉は私にとって青天の霹靂、あまりにもショッキングな発言であった。たとえば今まで赤だ赤だと思っていた信号が実際は青で、止まっていたのは私だけだった・・・てなぐらいのカルチャーショックを受けたのである。そうなのか、温泉に入るヤツは皆この気だるい感じを求めて入っていたのか・・・。物事には、必ず裏と表がある。そして裏か表かを決めているのはその人の感じ方次第なのだ。これからは コイツは裏だと決め付けるのはよそう・・・ひょっとしたら自分のほうが裏だということもあるのだから。と言って、温泉が好きになったわけではないので、念のため。
夕食準備 photo by 活二
温泉で少しおりこうさんになった私は昨夜予定していたスズキが釣れなかったので食材を買いに助手とスーパーに行った。その間に一風がいつものようにブイヤベースを作っていたようだ。一風はどんなものでも作るが、傾向としては洋風に傾いている。OFF会には無くてはならぬ存在である。もし一風が死んだら、我々はコンビ ニ弁当でOFF会を乗り切ることになるかもしれない。ま、死なないけどね。
一風ブイヤベース
なんでもそこで獲れたものが旨い。旨いと感じるのは自分の舌ではなく、心である。だから自分で採って自分で食す・・・これが究極のグルメである。一流と言われるシェフのいる店に行って食べるのを最上としている人は、一度このOFF会に参加するとよい。絶対こちらのほうが旨い。ウエッジウッドやエルメスの食器こそ無いが、趣味を同じくしている人々と歓談しながら口に運ぶ発泡スチロール丼に入った食事はもう、ヤミツキになること間違いが無い。ついでに書いておくと私は焼いたカキも好きである。焼くと言っても火に掛けて口が軽く開いたところで、半生状態を食べるのであるが、カキの香りが凝縮して、美味しい。この食べ方で昔3日間で150個を食ったことがあるが、さすがに三日目に アタッた。そして一年間はカキが食えなかったことがある。ま、これくらいカキが好きだったということだ。そして思えば今こうしていろいろな場所で行っているOFF会も、その発端は私がイワガキを求め、2年前に一風の案内で笹川流れに行ったところから始まったのである。嗚呼、人の食欲の偉大さに、乾杯!。
7月21日
さて、問題は次の日であった。やはり朝から雨が降っていた。昨夜姫川河口で夜中の1時まで釣っていた私は(結果はまたもやボーズ) 、そぼ降る雨の中で狩猟欲を満たしきれていなかったせいもあって、心の中はモヤモヤしていた。潜れば透明度が悪く、釣ればボーズ。これではすっきりするわけが無い。ましてやこのメンバーは昨夜すでに今日のレンゲだかタンポポだかの温泉行きを決めている。sonetaとnomo16夫婦はもちろん、助手までが「今日は雨降ってるから、温泉にしようよ〜」と 手のひらを返したような裏切り発言をしている。もしここで一風が「じゃ、そうしますか・・・」とひとこと言ったら、私にそれを覆すだけの気力があったかどうか・・・。しかしそうはならなかった。一風はなんの躊躇も無く、「じゃ、我々は潜りますか」と言ってくれたのだ。一風は実にいいヤツである。アウトドアやくざも行くと言ってくれた。そうこなくっちゃ!・・・インクもいいヤツである。二人より、三人が良いに決まっている。この時点でこのOFF会は青年素潜り隊とジジババ温泉組にハッキリ別れたと言っても良いだろう。フムフム。
イワガキ採り photo by 一風
水は昨日より格段に澄んでいた。昨日とは違った岩まで泳ぎ、そこでイワガキを剥がす。だいぶ手慣れてきたせいか大きなものがナイフでゴロン!と剥がれる。持ってきた袋がすぐに一杯になった。しかし昨年のような拳ほどもある大きなサザエがまったく無い。すでに獲られた後のようだ。目を凝らすが、やはりアワビも見つからない。こちらのほうはインクの殺気で早々に逃げ出したのかも知れぬ・・・こんなことを考えながら潜っていると、水中で噴き出して、水を飲むこともある。ハハハ。やっぱり海中探検は楽しいなぁ。
一時間も潜っていると、一風が寒くなったから上がると言う。私はウエットスーツを着ているのでまったく寒くは無いが、今日は雨で陽もささないから、パンツ一丁の一風は寒いのである。それに後で見るとわき腹とか背中に擦り傷が出来ている。私も獲物は十分だったので一緒に上がることにしたが、一風ちゃん、そろそろスーツを買いなさい。
その後身体の冷えた一風の提案で昨日のナントカ温泉のすぐ下にあったナントカカントカ温泉に三人で入る。海に潜ってから入る温泉と、ただぼんやり入る温泉ではその価値がまるで違うのだ。えらく愛想の良い女将さんがいろいろと説明をしてくれて、名前は忘れたがなかなか良い温泉だった。
昼に海岸に全員が集合した。今までのOFF会と違うのは、今回は女性が多く参加したことだ。これが多いとなにやら華やかにはなるが、どことなく緊張感が欠けてしまうところもある。だいたい 女性というのは言わんでもいいことを極めてあっけらかんと喋ってしまうという習性を持っているから、そうなるのである。ま、 なんでも良し悪しですがね。それにしても和やかな風景である。私はこの挨拶には加わらず、車の中でこの光景を撮り続けていたのであるが。
さて、これからいよいよ忠衛門の笹寿司をほおばる会が開催されるのであるが、活二の実家ではカアチャンが首を長くして私を待ってくれているはずだ。 一風の母もそうだが、活二のあの元気で気丈なお母さんは初めて会った時から私に奇妙な懐かしさを感じさせてくれる。なんだか昔からズーッと日本中にいたお母さんの代表みたいな・・・そんな安心感を感じさせてくれる人なのだ。そしてそのお母さんが作った笹寿司なのだから、旨くない筈がないのである。
謹製忠衛門笹寿司
綺麗な食べ物ですよね。まずは完璧に視覚に訴える作戦で作られた寿司である。紅生姜の色が褪せているのは作りたてではないからであるが、鯛でん粉がそれを補っている。 とにかく見ただけで楽しくなるように作られている。飯の量はけっこうあるので普通だと一人4、5個が限度だろう。健啖家の一風が昨年7個を平らげたが、今年は5個であった。最近胃の小さくなった私は去年と同じ4個で腹一杯になった。またこれ以外にいろいろなオカズが一杯出て、ゼンマイ、 きゅうりの芥子漬け、ツルムラサキ・・・それぞれの味付けがとても美味しかったからでもある。 ホームページに山アスパラばかり紹介していないでこの田舎料理のレシピなんかも詳しく載せたほうがいいんじゃないの?と思ったことを口にすると、sonetaも一風も頷いている。実際活二は幸せ者なのである。しかるにこの馬鹿息子は、今の自分がこの偉大な母の恩恵によって幸福でいられるのだということに気がついているのかどうか・・・。この立派な屋敷を見渡しながら、「母が死んだらこの家を誰が見るんかねぇ・・・」などどトンチンカンなことを口にしている。
笹寿司昼食会 photo by 活二
昼食会の後、一風が活二に、まさに一風らしい要求をした。つまり活二の家の裏のブナの森に案内しなさいと言ったのである。まさに腹ごなしにはちょうど良い散歩ではないか。すぐに我々は出発した。それにしても活二は幸せ者である。この辺りは海も近いし山も近い。アウトドア派には垂涎の立地条件ではないか。しかるに活二はこの海谷山をまだ探索していないと言う。後で一風に「ちゃんと調べておくように・・・」とやんわり詰られていたが、山アスパラ畑ばかり耕していた報いである。
ブナの森は峠の駐車場から少し登ると現れた。本来は駐車場から何キロも歩くと「越後の上高地(名前を聞いただけで行って見た〜い!)」と呼ばれる場所があるらしいが、今日は無理なのでお茶を濁したわけだ。ブナの森はやはりいい。一歩足を踏み入れると落ち葉の絨毯が優しく迎えてくれる。
海谷山峠のブナ
あとで活二は「越後の上高地」に自分よりも先に一風が入山してしまうのを恐れていたが、敵は一風だけでないことに気がついていない。なんでも早い者勝ちである。ま、とりあえず夏は暑いのでやめておくか・・・。
ここで散会となった。今回は埼玉のインク、上越のnomo16、それぞれユニークなカップルの参加で盛り上がったOFF会となった。秋になれば今度はキノコのOFF会が待っている。春の山菜、夏のイワガキ、秋のキノコ・・・それなら冬はスキー(スノボー)やりませんか?とnomo16が私にささやいた。うむ、それも良いが、ただのスキーやスノボーでは面白くない。もうひとつなんかこう・・・アウトドアマンとしてひねった企画が欲しいところだ。