親不知ゴムボート進水式
ゴムボートを買ったのはけっして衝動買いではない。今年の春の名古屋ボートショウで見て、実は買いかけていたのだ。しかしその時は「一人で膨らませて、船外機持って・・・う〜ん何回行くんだろうなぁ・・・」と思い悩んで、思い切りがつかないまま、夏を迎えていたのである。もとより波の荒い太平洋で乗るつもりはまったく無い。夏の穏やかな日本海で、釣りというよりむしろ潜る時のために考えていたものである。大きい船より喫水が浅いため(ほんの数十センチ)岩場や隠れ根へのアプローチ手段としては一番いいのである。
問題は船の長さ(大きさ)と船外機の馬力である。この選択には重量と船舶検査が重要なファクターとなる。 船長3メートル(実際は船長×0.9)、エンジン出力2馬力までが船舶検査がいらないことになっている。だから船舶検査なしで行こうとすると3250mmのボートが最大の長さとなる。で、こいつで気持ちよく走ろうとすると多分最低5馬力、できたら8馬力以上欲しいのであるが、それだと船舶検査が必須になってしまうのだ。しかし船舶検査を受けないということは、実は良いことが一杯ある。これはつまり子供が遊んでいる浮き輪ゴムボートと同じとみなされるから、定員も法定準備品(救命浮環、定員分のライフジャケットなど)も要らないということになり、装備も心構えも実に身軽になってしまうのだ。(そうは言っても海は危険だから、最低限の知識、常識はわきまえている必要はあるが。)ま、今回は船舶検査無しで行ってみるか・・・。2馬力エンジンは12kgちょいで軽いということも重要なファクターだ。5馬力だと倍になる。ゴムボートは40kg弱。昔なら一人で車から出せたが、ま、二人いれば何とかなるだろう。荷物として小さくなるのが魅力である。でもこれでちゃんと走ってくれるのだろうか・・・チョイ不安。
前の晩の宴会は宴会フリークのかやのんちが仲間一人を連れて設定してくれていたので着いてから合流した。翌朝親不知ビアパークの駐車場でゴムボートを膨らませる。昨夜いったん帰ったnomoも来るはずだが、あまりの天気のよさに待っていられない。超高圧電動ポンプとやらであっという間にパンパンになる。慣れれば5分で組み立てられるだろう。この日は波もなく快晴だったが、残念ながら透明度が悪かった。水温が高くなってプランクトンが発生したためか・・・。しかし試運転には絶好の日和だった。
横で遊んでいたガキンチョどもと進水式記念写真。子供って賑やかでいいですねー。 このガキンチョどもがそのまま育つと後ろに並ぶオヤジやオバチャンになるのである。とりあえず活二と二人で試運転に出かける。どの程度走ってくれるのかとか、何人ぐらい乗れるのかとかの感触をつかむためである。ここは海水浴場だからまずはオールで岸を少し離れてからエンジンをかけるのがマナーというものだ。
そしてエンジンをかけて出発。やっぱり2馬力は2馬力であった。3、4ノット、軽いジョギング・・・いや、早足程度の速度で一杯である。ま、こんなもんかな?。波風が少なければ岩場めぐりには何とか使えそうだ な。しかし4人が限度だろうなぁ・・・。
試運転を終えて帰るとnomoもいたのでとりあえず4人で出発。4人乗ったら動かないんじゃないか?と思っていたがなんの、同程度の速度で走ってくれる。小一時間で現場に着き、引き返して残りの2人を積み込み、出発。つまりピストン輸送だ。私の船(23f、115HP)と比べるとゼファー 1100ccと原付スクーター以上の開きがある。が、これはこれでけっこう楽しい乗り物だ。一人前に引き波を立てながらブルルル・・・と目一杯小さなスクリューを回して走る姿は健気でもある。ちなみにアクセル全開で1時間走って1ℓ程度の燃費らしい。予備タンクの2ℓを積んでおけばよほど大丈夫だろう。1時間全開で走ったら30 〜40ℓは食う私の船とは燃費でも段違いだ。
岩場で遊んでいると、むむ、ボート前部のエアーが抜けてきている。???。なんだよ〜、新品でエアー漏れかよ〜!。おまけにエンジンがかからない。皆で四苦八苦してかけたが、なんだか不安。この状態で2往復するのも嫌なので、ええい、全員乗ってしまえ、ということで6人乗って帰路に着く。折から前方から吹き出した風にしぼんだエアーもあいまって、先頭に乗ったかやのんちが全身ずぶぬれ状態。定員をはるかにオーバーして波しぶきをかぶるこの姿はまさに難民、ボートピープルそのままであった。幸いエアーフロアとキールがしっかりしていたので無事帰ることができた。それにしても不思議なのは、2人乗っても4人乗っても6人乗ってもあまりスピードが変わらなかったことだ。これはゴムボートのすべり摩擦が少ないからだろうか。ともかく進水式は なんとか無事終了した。車に積んでどこにでもいけるというのはなかなか素晴らしいことだ。採ったイワガキやイガイやサザエを昼食に、一杯飲んで散会となる。
エアー漏れに関しては後で販売元に文句を言うと、メーカーのジョイクラフトからバルブ交換セットを送ってきた(ゴメンナサイの一言も無かった)。バルブの締め不足が原因であった(ちゃんと締めとけよ〜)。ただ販売店(陽だまり商店)はメールも丁寧な返事がきたし、後でお詫びの品が届いたり、フォローは良かった。またエンジンがかからなかったのは多分岩場でエンジンをチルトアップしたからだと分かった。キャブのエアーホールにガソリンが回り、始動困難になるのだ。バイクが転倒してエンジンがかかりにくくなるのと同じ理由である。
後日2度目のゴムボートを浮かべに親不知に行った。この時は柿の種も出席したが、晴天なれど波高し、であった。それでもうねりの中でボートを出し、頑張って潜った。一回目よりも透明度はわずかながら良かったが、それでも3m程度。しかし新場所でイワガキを一杯採った。今回はボートのエアー漏れも無しでエンジンも快調だった。その時撮った 「不要なものを一切身につけない活二の山猿潜り」をアニメ化してみたのでご覧ください。顔が見えなくても誰だか分かるってことはいい事か、はたまた悪いことか??。
では皆さん、来年もガンバロー!。