《キノコOFF会顛末記-2》 H14/10/13.14



奈々子がやってきた…

  奈々子が朝、約束どおりやってきた。郡上八幡インターチェンジまで旦那に送ってきてもらったのだ。送ってきてもらったのはいいが弟子が迎えに行って、着くと、旦那はすでに姿を消していたそうだ。つまり奈々子は一人ポツンとIC出口に捨てられていたわけだ。普通ならせめて「誰が迎えに来るのか」ぐらいは確認してから帰るのが常識だと思うが、奈々子の旦那にはこの常識が無いらしい。なぜそんなに急ぐのかというと、祝日の今日も昼から仕事であるらしい。私の10倍は働いてるな…と奈々子に言うと「10倍じゃきかないと思う・・・」と半ば諦め顔で呟く奈々子。お互い何をしてても関知しないと笑う。それにしてもなぜ私の仕事量が分かるのだろう。女の直観か?
 ともかくも捨てられた女は我々に合流した。今日は皆でブナの森の探索だ。はっきり言って奈々子はアウトドア派ではない。アウトドアどころか家で人形やらドールハウスやらを作ったりすることの好きなインドア派である。体が疲れることはやりたくないとはっきり言う。ではなぜここにいるのか?これがインターネットの怖いところである(笑)。花も好きな奈々子は同じく花の好きな魚菜と、同じ三重県に住んでいることもあって、先日会った。会った、と言うより奈々子が庭を見に魚菜の家を訪れた。掲示板が好きな奈々子は我々の掲示板にもよく書き込みをしてくれていたのですでに皆と仲良しであった。そして先日sonetaが三重県にやってきた時、じゃぁ皆で会おうということになった。sonetaも私も楽しみにしていた。ところがその前日、奈々子の親戚に不幸があり、結局会えなくなってしまったのである。
 そして今回、キノコOFF会で皆が奈々子を誘った。奈々子にしてもどんな理由にせよ前回すっぽかしているので断りにくい。本当なら「私は山なんてしんどい所に行きたくないのよ!」と叫びたかったのであろうが、それが言えない辛さ…結局忙しい中をやりくりして合流せざるをえなくなってしまったのである。
 いつも思うが、ネットの掲示板などでお互いに書き込んだりしていると、初対面でも初対面の気がしない。我々はすぐに打ち解けて朝食をとり、9時に趣味千山を出発した。目指すは大白川のブナの森である。


魚菜とsoneta…ミズナラの木の根元で一休み

 今日も快晴である。
 せせらぎを渡り、ブナの森に入る。ここはいったん登ると斜度も少なく、楽な地形である。ブナの森でキノコを探すのは比較的簡単である。基本的に倒木を探せばよいからである。この時期のブナの倒木には何がしかのキノコが生えている。ブナハリタケ、ナメコ、ムキタケ、ヒラタケ、エノキタケ…美味しいキノコのオンパレードである。さっそく一風がナメコの幼菌を見つけた。昨日の雑木林では少し勝手が違った一風であるが、今日は慣れ親しんだブナフィールド…まるで水を得た魚のように、あちらと思えばこちら…本来の疾風のような動きを見せて駆けずり回る。魚菜はこの広大なブナの森が初めての経験だったようで、「ほほぅ・・・ええもんですなぁ…」と祇園のオババ芸者のようなイントネーションで感嘆している。そばにいた奈々子に「魚菜の言葉使い、あれが本来の三重弁なのか?」と問いただすと奈々子は「ちゃいますよ!あんなふうに喋るのは魚菜さんだけですぅ…。」ときっぱりと否定した。どうやら三重県でもど田舎の老人しか喋らない言葉らしく、なぜ魚菜がそんな言葉使いなのかは謎らしい。やっぱり・・・。

 
ナメコを採るsoneta

 ナメコが見つかった。皆で写真を撮り、収穫する。ブナハリタケは少し遅いものの、結構見つかる。逆にナメコには少し早い。同じく少し早いが、ムキタケも生えている。私の第一の収穫は天然のシイタケを見つけたことである。シイタケという最もポピュラーなキノコの天然モノを、私は今まで見たことが無かったのである。


天然シイタケ…ポツンとひとつ生えていました

 来る道が荘川の村祭りで渋滞していたこともあって山に入ったのが11時過ぎ。今日はそれぞれが新潟、東京、三重まで帰らねばならない。1時過ぎに駐車場所まで戻り、簡単なバーべキューで昼食となった。一風が持ってきてくれた店のコロッケと和牛のハラミとサガリ…最近焼き肉屋で人気が出て、価格も高くなったようだ。それを焼きながら食った昼食は周囲の風景とあいまって大変旨かった。こと食事に関してはついつい一風に甘えてしまう。sonetaなどは「今度は何食わせてくれるのかなぁ・・・」などと開き直って楽しみにしている始末である。
 



バーベキュー風景

 大白川の温泉に入ってお別れとしますか。この提案にsonetaはニコニコである。湖畔の露天風呂で200円で入れるが、体を洗ったりは出来ない。私は飯を食って眠たかったので入らず、皆が入っているうち30分ほど車で寝ていた。なぜ入らぬのか…sonetaは私が奇奇怪怪の人物に映ったようだが、これは温泉に対する思い入れの程度の違いである。私にしてみれば海の上で釣りをしないでビールを飲んで寝っ転がっているsonetaのほうが奇奇怪怪である。
 湖の周囲では紅葉が始まっていた。3時過ぎに我々は車で山を下った。途中、私の車の前方で突然、メリメリッ!!と音がしたかと思うと、崖の上部で大きな木が倒れているのが見えた。慌てて車を止めると、前方にドスンッ!と木と枝が落ちてきた。…止まっていなかったら直撃だったと思う。インドア派の奈々子は間一髪の事態の恐怖が分からぬと見えて、後ろでニコニコしている。道を塞いだ木をどけていると、後ろの車から一風が降りてきて、枝を拾い、「クリスマスツリーにしよ〜っと」とこれまたニコニコしている。別の意味で危機意識のかけらも無い。こんな調子だから増水した沢で落水するのである。
 一風とはここで別れた。後で聞くと4時間弱で新潟に着いたらしい。「これなら大白川は私のテリトリーに入るなぁ」などと嘯いていたが、一風ならやりかねない。困ったヤツである(笑)。我々はそのまま趣味千山に戻り、少し時間を潰して渋滞を避け、帰ってきた。電車の時間を心配していたsonetaもなんとか当日中に東京に帰りつき、奈々子と魚菜も無事何事も無く三重まで帰着した。
 一週間後、私と弟子は一風の見つけたナメコの幼菌が大きくなったのを見計らい、採りに行った。そのまた一週間後、同じ所に出かけ、ムキタケを多量に見つけた。エノキタケも見つけた。そのまた一週間後・・・今度は大白川に雪が降った。紅葉は山の下付近まで下りてきていたから、紅葉と雪の美しい写真が撮れた。



11月初旬、雪が降った

OUT DOOR

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