2009年 9/2日 グランドピアノがやってきた!
8月のある日、私とじょしゅとシーは、とある名古屋のピアノ販売イベント会場にいた。全国的にも大きな店の販売イベントだったのでいろいろなグランドピアノ(特に輸入ピアノ)を一度弾いてみたかったからだ。以前からあるピアノはアップライトで、まぁ、そんなに不満があるわけではなかったが、私としてはやはりグランドピアノがひとつの夢だった。以前からちょくちょく探してはいたが、所詮片田舎の中古ピアノにそんなに良いモノがあるわけが無い。だいたい置いてある数が少ないからチョイスしようがないのだ。
その会場で、「スタインウェイは置いてありますか?」という私の問いに、店員の目の色が変わった。「あっ、スタインウェイ、ですか・・・本社にはたくさん置いてあるのですが・・・今回は持ってきていなくて・・・」と大変残念そうな様子で、余程の良い客だと思ったか、まとわり着いてなかなか離れない。それどころか奥から白髪のおじいさんを呼んできて私にあてがってきた。仕方なくベヒシュタインのアップライトがあったので弾いていると(いい音!)、そのおじいさんがピアノについていろいろ教えてくれた。ベヒシュタインとスタインウェイのコンセプトの違い、従ってその音質の違い、輸入(ヨーロッパ)ピアノと国産ピアノの違い。材質やら作り方の様々な違いが,最終的に決定的な音の違いになってくるらしい。その話を要約し、簡単に言えば、「芸術作品」と「工業生産品」の違いであるらしい。これは日本人の得意とする分野で、規格を統一してボトムアップと均一性は確保して、なおかつ安価に造る・・・車でも同じだと思ったが、それがピアノでもなされているということだ。それが決して悪いわけではないが、やはり超ハイクラスの音は無理なのだろう。この日結局スタインウェイは弾けなかったが、いろんな知識を得て、私はますますピアノが好きになった。
で、先週の土曜日、ネットで調べた鈴鹿のピアノ店に入る。そこにもスタインウエイはなかったが・・・ちょっと待てよ?スタインウエイ、スタインウエイとうわごとのように言っているが、本当に買うつもりなのか???。そこでハッと気がついた。スタインウエイは中古でも500万円ぐらいはする。本当にそんなバカ高いものが欲しいのか?お前のピアノの腕で、勿体無いとは思わないのか!?。・・・店員と話したりいろいろ弾き比べているうちに、だんだん現実が見えてきた私は自問自答の末、ある結論に達したのだ。
その店にあった中古ピアノ。ヤマハのG2のチッペンデール(猫足)。自動演奏付き。ヤマハの工業生産品(!)の中でもワンクラス格調の高いピアノに写真の自動演奏装置が付いている。この自動演奏装置というのがなかなか素晴らしいのである。有名なピアニストが弾いたそのままを再現できるのだ。私の興味はいつしかピアノそのものより、むしろそのピアノプレイヤーに向いていた。自分の弾いた曲も録音できる。ということはピアノとギターの伴奏で一人で歌うことも出来るということだ・・・。よし、決まり!。スタインウエイはこの次にしよう。というより、何かで儲かったら資産として買おう(笑)。この変わり身の早さが私の長所でもあり、欠点でもある。
かくして私の音楽部屋にドカンと据えられたグランドピアノ。さっそく自動演奏でジャン・マルク・ルイサダの弾くショパンを楽しんだ。ううむ、これはいい!。有名演奏家が横でこのピアノを弾いてくれているのだ・・・。こんな楽しみはそうそう得られるものではない。楽しみをひとつ発見して、少し有頂天。ソフトはヤマハの代理店に行けばたくさん売っているらしい。ネットで買えないのはこんな時代なのに少し残念。
その後自分で弾いてみた。・・・なんてヘタ!・・・このピアノでもかなり勿体無いくらいのヘタ。自動演奏との落差に少し嫌気が差したが、そこは天性の楽天家。すぐに立ち直り、Let It Beを弾き語りで歌った後、ショパンを自分の都合のいいように勝手に編曲し、何曲か弾いた(笑)。一度グランドピアノで歌いたかったんだよね、Let It Beを。