日本列島食歩記A

高知・八戸編


高知 090704-05

 今日は息子の家族と一緒に高知にやってきた。運転手付はやっぱりラクだ!(笑)。昼間から酒が飲めるのも大変アリガタイ。初めて見た四万十川。そして昔からなんとなく行ってみたかった足摺岬に。高知までは高速道路があるので比較的楽だが、そこから足摺岬まで少し道を間違えたこともあって180kmを地道。途中高速を降りた須崎で昼食。足摺岬に着いたのは4時近かった。

   

 展望台の入り口に建っているジョン万次郎の銅像。当時アメリカまで船で渡ってやろうとした、その気概が凄い。人間とは本来、生命体でありながら、生命を超越する精神を持つ生き物だ。チマチマしたことばっかりやっていてはいけないのだ。絶壁の上に立つ白い灯台。これが竜馬や万次郎の姿にダブって見える。彼らは人生をどう思い、どう感じていたのだろうか。

 泊まりは高知、はりまや橋まで歩いて10分の阪急ホテルだから、散歩がてらの夕食となる。夜市とかでアーケードは大賑わいだ。南国の夏も活気があるね。今回の目的は「今一度その日に獲れたカツオを食う」というものだ。今一度、と書いたのは5、6年前に和歌山で魚菜と食ったカツオの刺身の味が忘れられなかったからである。その時魚菜と私はカツオという魚は当日と翌日ではこんなにも味が違うものなのか!という共通認識を持った。そしてその後魚菜はカツオを求めて遠洋にまで足を伸ばして自分で釣ったりもしたようだが、私のほうはそれ以来一度もその味を味わっていなかったのである。

 店を探し、須崎港から毎日直送!と書かれた店に入り、今日獲れたカツオだよねと念を押し、注文したカツオの刺身である。私の舌に久しぶりに乗ったこのなんとも旨い刺身は、いつものカツオとは確かに別の魚であった。簡単に言えばカツオ特有の「臭み」が無いのである。そして身が甘い。ついでに頼んだタタキもこれはこれで大変美味しかった。

  

 そのまたついでに頼んだウツボのから揚げとたまたま入荷していたクエの刺身。クエという魚が年中脂が乗っている魚だ(もちろん冬のほうが多いだろうが)ということが分かったと同時に、刺身も旨いが鍋にするともっと旨いとも思った。先日岐阜でクエを食べたが、その時は刺身が食べられなかったので、やっとワンセット・・・丁度良かったのであるが。

  

 誰かが頼んだカツオの茶漬けを横取りする。これがまたなんとも言えず旨かった。やっぱ高知はカツオだね。秋にはもっと美味しくなるんだろう。もう一軒寄ってビールを飲み、ホテルに帰ってカクテルバーでドライマティーニを飲んで熟睡。最近良く飲むなぁ・・・Z Z Z・・・。


 ホテルは高知城のすぐ近くにあり、日曜朝市の開催されるのも高知城の追手門通りだから近い。新潟の「一閃料理人」一風が今年に入って朝市というものに凝り、八戸やら能登輪島、そしてこの高知と飛び回っているのを知っていたので私も覗いてみたのである。私もその地の生活観あふれる朝市というのは好きで、日本に限らず外国でも市場を見ればその地の文化が分かり、楽しいのである。

  

 しかしこの朝市には何故か新鮮な魚介類の売り場が無い。500件近くが軒を並べていて全国でも大きい朝市だと思うが、食べ物では野菜、果物、花、雑貨類が多い。魚はあっても干物。もっと海鮮的な朝市を想像していた私にはちょっぴり不満。

 マンゴーは宮崎県と同じ緯度だから美味いであろう、なおかつ高知マンゴーなんて聞いたことも無いからノーブランドで安いだろう・・・という読みで買い、「土佐包丁」という呼び名があるくらいだから良く切れるであろうという読みで出刃とアジ切を購入した。にんにくやらニラ、そして生姜は高知産がスーパーでも並んでいて特産地だということは知っていたが、お菓子の「イモケンピ」がこちらの名産菓子だとは知らなかった。

 じょしゅが今桂浜にいると一風にメールをしたら「浜に露出した岩に登れ」とのミッションが下されたので実行。なるほど、気持ちのいい場所だ。昔竜馬もこうやって登って海を見たかもしれない、いや、きっと何度も見たに違いない。なかなか粋なミッションであった。



八戸 090712-13

 前述した一閃料理人の一風。11日の夜、我々が到着するとサッサッサ!とものの5分でウニパスタを作ってくれた。八戸で仕入れた塩ウニの瓶詰めを使って仕上げられている。まさに「これから行く八戸ではコイツを買ってくるんだぞ!」というプレゼンテーションである。一風は今Z4ドライブと八戸朝市に凝っている。もともと一直線、猪突猛進のドンキホーテタイプだから一度凝りだすと止まらない。片道600km近い距離をぶっ飛ばして、仕入れて、また帰ってくる・・・これを今年に入って3回繰り返し、今回で4度目らしい。いったい八戸の朝市の何がそれほど彼を駆り立てるのだろうか?。このドンキホーテに便乗して、今回はそれを探る旅にしたい。

 それにしても高速道路、どこまで乗っても1000円は安すぎる。誰が考えたのかは知らないが、こんな居酒屋の飲み放題みたいなことやってては駄目だ。いや、居酒屋の飲み放題のほうがマシだ。私的にプランを言えば全車(通行車両全車)料金半額、ならば納得である。ついでに言えば民主党の無料化には絶対反対である。時間をお金で買っている人々(会社も含めて)もたくさん居るのだ。事故だって増える。もし無料になったら私はもう会社には出勤しないだろう(笑)。それにしても八戸道の通行料の少ないこと・・・今日の売り上げは三万円くらいじゃないの?。

 夜中の12時前に4人で新潟を出発。2時間しか寝ていない一風が一人運転する横で、気がつくと朝だった。へ〜八戸って近いんだ〜。こんなことなら何度来てもいいなぁ(笑)。ピタリと5時に朝市到着。さすが何度も来ているだけあってJR並みの到着時刻だ。

 朝5時なのに駐車場にはもうズラリと車が停まっている。八戸港の岸壁伝いにズ〜ッと向こうまで朝市屋台が並ぶ。端から順番に見て歩くが、さすが豊穣の北の海の朝市・・・並べてある魚介類も中部地方とはずいぶん違う。同じ種類の魚でもいかにも脂が乗っていそうである。それに安い、相当安い。一風が青森県の自給率は120%であると教えてくれたが、それがこの市場価格に反映されているのだ。

  

 後で買ったがこの「ほやめし」と「うにめし」・・・安くない?。一日1000個仕入れて名古屋の繁華街で500円で売ったら結構いい商売にならない?宅急便の発達で八戸から岐阜まで翌日配達だ。魚だって上のヒラメを仕入れたら最低でも倍で売れるよな・・・ううむ、ちょっと考えてみるかぁ。

  

 いかにも美味そうな魚介類あぶり焼き。これも後でメロウ(銀むつ)のカマの部分を購入。ブツをくるんだ新聞紙がベタベタになるほどの脂の乗りだ。おみちさんも相当な試食好き。各屋台の試食皿をつぶさにつまんで歩く。じょしゅも食べているか、何かを買っているか、ケータイメールしてるか・・・この三点行動しか見受けられない。

  

  6時過ぎから7時にかけて大混雑になってきた。市場も広いが来る人の数も半端ではない。それともうひとつ、と言うより、一番感じたことがある。この朝市は大変見て回りやすい…ということだ。それは売り手側の態度にある。たとえば有名な輪島の朝市に行けば分かるが、一度屋台を覗いたら最後、「ほら、おに〜ちゃん、3000円・・・もう一匹付けるから買ってってぇ!」と叫ぶように売り手が絡んでくる。じっくり商品を見ようものなら、もう手渡しされてしまうくらいの勢いだ。断るのが苦手な人なら「うるさいから買ってしまえ!」と思ってしまうかもしれない。同じようなものを狭い区域で売っているということもあろうが、また、こんな掛け合いを楽しむ輩もいるにはいると思うが、珍しい商品をじっくり眺めるのも市の楽しさだ。そういう意味では最高の朝市だと思う。八戸では誰も無理やり売ろうとはしない。むしろ常に控えめで、じょしゅやおみちさんがつまみ食いして去っても声すらかけない。ニコニコしているのである。これは世間 ずれしているとかしていないということではなく、多分にこの地方の人々の性格的な要素から来ているのではないかと途中から感じ始めた。

 もう昼ごろかと錯覚するほどの時間を朝市で費やしたが、時刻はまだ8時過ぎであった。今夜は八戸泊りだから夜まで何をするかということになり、一風が恐山→八甲田山ツアーを提案した。4人とも両所が初めてだったので、即決。まずは恐山に向かった。

 不気味を絵に描くときっとこんな風景になるんだろう。団体ツアーのガイドの解説を横で聞くと、ここ恐山は江戸時代まではどちらかと言うと霊場というより5種類の湯が湧き出る湯治場だったらしい。確かに浴場が男女別れて建ててあった。じょしゅと一風が入るというので私も入ったが、熱くて入れない。1分で出た。しかし不思議なことに・・・こんなことを言うとじょしゅと同じだと笑われるので少し躊躇するのだが・・・それまで朝市で歩き回って痛かった足の痛みが皆無になったのである。・・・ま、やめとこう。ウソですよ、ウソ。

  

 恐山の浴場と納骨塔のカラス。ここにはカラスがけっこう居ついていて、お供え物を啄ばんでいるが、これも不気味さを助長させている。時々威嚇するように超低空飛行で向かってくる。以前(12年前ぐらい)下北半島に来た時は恐山が丁度大祭で、ここはおろか陸奥市内のホテルも一杯で泊まれなかったことがある。その点今日は参拝客も少なかったが、その辺りに座っているとばかり思っていたイタコさんは専用の部屋の中にいて、写真にも撮れなかった。道端に筵をひいて座っているのは大祭の時だけらしい。去年亡くなった三浦さんに会ってみようかとも思ったが、途中で失望するかも、もしくは笑ってしまうかも・・・と思うと部屋に入る気が失せた。それにあの三浦さんが こんな寂しい所ににいるなんて、とても思えなかった。

 恐山から八甲田山はけっこうな道のりで、しかもあまり大きな町を通らないので、途中の野辺地辺りで食事を取り損ねた後は店も無くて・・・腹が減って・・・死にそうになっていたところで手作り生ハムを食わせてくれる小さな店を発見。じょしゅが運転を替わるからと、二人でビールで乾杯。こういう時のビールは本当に美味い。そのビールを二本飲んで助手に運転を替わり、やれやれ、一風お疲れさん・・・ゆっくり寝る・・・のかと思ったら、寝ない。このテンパリ方は尋常ではない。ナポレオンみたいな奴だ。反対に私はアインシュタインだ。最低でも8時間寝ないとダメだ。恐山に向かう途中運転を替わったが、替わった途端に眠たくなり、危なかったので、「一番寝てるくせに!」と皆の顰蹙を買いながらじょしゅに替わったのである。

 八甲田山ロープウエイ。ヒバの森だ。中部と比べ全体的に東北の山は嘗めていて、険しくない。やたらに開発もされていないから自然林も多い。秋にキノコを探すと面白そうな場所が一杯ある。

 八甲田山頂上の湿原にて。ワタスゲがポツリポツリと咲いていた。いい景色だ。気温は15℃。いい気候だ。山を降り、八戸のワシントンホテルに着いたのが6時半。休憩無しでさっそく屋台街に繰り出した。まぁまぁ元気な 中年・・・いや、初老4人組だ。

 最近改装したという屋台村で、まずは長かった今日一日を乾杯。私はほやの刺身を頼んだ。一風はセグロイワシと焼きホタテ。ここは値段的には少し高いと思ったが、味は良かった(素材が)。この鰯、少し塩辛かったがめっぽう脂が乗り美味かったので翌日市場で買って帰ったのだが、これより塩が甘く、もっと美味しかったことを付記しておく。病み付きになる味である。ほやは昔名古屋で食って気持ち悪くなって吐いた覚えのある、因縁深い食い物である。その後気仙沼で新鮮なほやの味を知り、この食材と仲直りしたのだが、ここで久しぶりに食べたのはやはり仲直りしたほうのほやであった。めでたしめでたし。

  

  八戸の繁華街を歩いて次の店を探す。下の看板でフジツボ焼きとある。初対面の一風と食った思い出の味である。あの時一風は確か青森だか秋田から取り寄せたと言っていた。食べ方もよく分からず茹でて割って食ったことを覚えているが、今回食べ方を教えてもらった。爪楊枝で穴のふちをグルリと切回し、身を抜いてしゃぶりつくのである。東北の珍味だ。

  

   

 おみちさんは天性明るい女性である。また見た目以上にインテリでもある。写真に写る時にピースサインをする人が皆バカだとは限らないのである。反対に一風は思考を伴う行動の末に吹っ切れるタイプである。ただその結論からくるこだわりをおみちさんがスパッと切り捨てるものだから・・・塞ぎ込む。今塞ぎ込んでため息をつきながら一風が眺めているものが、Z4の次に購入を検討している車のパンフレットであることを知っている人は少ない。この写真の対照的な二人の顔が実に今の状況を物語っている。右の焼き鳥は味以前に焼き過ぎで×。私の作った焼き鳥のほうが断然美味い。こんなものを客に出してはいけない。


 

 女なら誰でも良かったころを思い出し、おばちゃんの胸を触る一風。雨が降っているのに楽しそうに空を見上げるじょしゅ。なんや、お前らは・・・どっから来たんや!。陸奥湊駅のまん前の朝市(日曜休み)である。ここも港の日曜朝市とは違った意味で凄いところだった。

 

 ここの朝市はどちらかと言うと一般客向けというより主に業者向けの市らしいが、小分けしたものも一杯売っている。売り手も皆優しく控えめで、気分の良いのは前述の通り。駅前通りに軒を連ねて奥までズラリと小さな店が並ぶ。

 そして楽しいのはその場で買った刺身やらおかずでそのまま朝食を食べられることである。味噌汁やら炊き立てご飯も100円ぐらいで売っているのだ。我々はマグロのトロ、赤身、蛸、カレイ・・・手当たり次第に机に並べ、パクついた。皆200円から500円ぐらいまでの値段で、驚くほど安い。昔から朝食には刺身とあったかいご飯と味噌汁を至上としてきたが、ここ十年来でそれが何度あったろうか。ともかくこの日の朝食が私が今まで食べてきた朝食の中で一番だったと言っておこう。ただし、ハッキリ言ってこれは調子に乗り過ぎ、つまり買い過ぎである。さすがに少し食べ残しが出たことも正直に書いておこう。

 7時ごろにホテルに帰り、9時までしっかり寝てしまった。それからじょしゅは朝食を再度食べ、私はコーヒーだけ飲んで10時前にホテルを後にした。この時、帰ってからはダイエットだ!とじょしゅが叫んでいた記憶があるが、帰ってからダイエットもそれらしいことも一切していない・・・自分の言ったことを忘れてしまったのだろうか。

 市場回りのとどめに最近開設されたという八食センターに行く。こういう市場は何度見ても飽きない。値段も総じて安いが、本当に良い魚を見る目があるかどうかは自分自身にも自信が無いので(鮮度は分かるが)なんとも言えない。アンコウが腹だけ割かれて(肝を見せるため)丸ごと売られている。2500円!!。なんて安いんだ!。しかし調理が面倒臭そう・・・そうだ、食材試食家の魚菜に送ってやれ!それで調理法と味を見させて、評判良ければ今度また買いに来ればいい。さっそく手続きをしていると一風が「じゃ、オレはコイツで・・・」と指差したのがミズタコの足・・・同梱。じょしゅがメールで送付を知らせる。送った物の丸いほうが私で長いほうが一風ですという文面で、あえて商品を言わないでおいた。楽しみが増すというものだ。

  

 さすがにこれだけ魚介類ばかり食ったり見たりしていると肉が恋しくなってくる(えっ、まだ食うの?)。一風の知人が紹介してくれた盛岡一の焼肉(前沢牛)店があるらしい。予約もしておいてくれたらしい。で、高速に乗り、一路盛岡を目指した。途中松尾八幡平ICを過ぎた次のPAの岩手山SAでトイレ休憩をし(ここが重要なところである)、西根IC、滝沢IC、を経て盛岡ICに到着。この間約30km。焼肉屋に着いた。

 前沢牛というあまり今まで聞いたことの無いプランドだが、味は飛騨牛より比較的さっぱり?。「聞かれたら、(紹介者の手前)日本一だと言ってやってくれ」と一風に言われていたが、もちろん上質の肉で不味いわけは無いが、と言って松坂牛、神戸牛、飛騨牛、米沢牛・・・(だんだん安くなっていく?)などと比べて特段に旨いとも言えない。というより私にとってはある一定限以上の肉はほとんど同じで、同時に食い比べない限り,記憶だけでは比較しようが無いのである。写真でも分かるとおりサシの入り方は松坂牛や飛騨牛のほうが細かい。幸い聞かれなかったが、値段も松坂などと比べたら安いと思う。

  

 ただし、冷麺とホルモンは旨かった。このホルモンについても比較のカテゴリーが分かれるが、いわゆる脂の乗ったホルモン(脂肪が内壁に付いているやつ)は確かに旨いが、ここのホルモンは部位が違うのか腸壁自体が脂肪を取り込んでプリプリしている。また,冷麺は今まで冷麺というものを旨いと思わなかった私も(そんなに食ってねーけど)旨いと思ったモノである。一風は飲まなかったが、私はビールとジンロを飲み、酔っ払った。いやぁ運転しないってことはいいことだ。何もかも満足。一風ちゃん、ありがとう、奥さんもね。特に一風ちゃんはこれからまた長い距離を運転・・・お疲れさん。ぶっ飛ばして警察に捕まってみんなで免停仲間になろうね・・・いやぁ皆さんお疲れさん・・・サンキュー、シェーシェー、オブリガード、グラッチェ。こんないい感じで車に乗り込んだ我々をじょしゅの一言がぶち壊した。

「・・・携帯が無い!」

 車の中と店を探し回るじょしゅ。散々探し回った挙句・・・岩手山SAのトイレに置き忘れたと思い出した。この携帯を置き忘れるという行為はじょしゅの専売特許である。家でも、大事な用を思い出し、出掛けたじょしゅを呼び出すと、すぐ横のソファーの上の携帯からメロディーが流れる・・・こんなふうに聞く着信メロディーがいかに空しいものか・・・そしてその空しさを何度味わったことか・・・。よりにもよってこんな遠い地でやってくれるとは!。何とかSAのレストランと電話がつながり、聞くとやっぱり置忘れで届いているとのこと。「岐阜まで郵送してもらえ!」と言ったが、一風が「携帯はじょしゅの命」・・・と言って取りに戻ってくれることになった。いっそ新潟に帰ってから気付いたほうが良かったかもね。確かに携帯電話を持っていないじょしゅは想像し難い。たまに使い過ぎて電池が切れると同時に、じょしゅの電池も切れる。普段からボーッとしているのが更にボーーッとするのである。一日中電話が無いと、ひょっとしたら死んでしまうかもしれない。

 帰り道で、自分の失敗をもう忘れ去ったじょしゅが一風に「昨日今日で何キロ走った?」と聞く。1500kmと答える一風に「わ〜そんなに走ったんだ!」とあまりに無邪気に感心しているので・・・私が「お前の携帯取りに行った距離も含めてな!」と言ってやると・・・「ヒャ〜、やぶへびだぁ〜」と首をすくめた。じょしゅはこれで本当に懲りてくれるだろうか。多分ダメだろうなぁ・・・。

 最後におみちさんの後姿を。これはけっして一風に寄り添っているのでなく、寝ているのである。


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