映画の話 2011
昔ほど手当たり次第に映画を観なくなった。「こりゃ、クソ映画だぞ・・・」なんて最初から分かってしまう映画はもう最初から見ないようになったからだ。それでも俳優に騙されることもある。キャストを見てつい観てしまってから後悔する場合もある。今年は目標として製作監督を中心に見てみよう。考えてみれば脚色や撮影手法は基本的に監督が行っているわけだからね。
<2011年度観た映画>
監督/題名 one-shot 論評
オリバーストーン 興味のある内容なので面白かったです。もちろん第一作の続編ですが、ゲッコーが刑期を終えて刑務所から出てくるところから始まります。ちょうどリーマンショックがあり、作品としては描きやすかったと思いますね。単なる金儲けやアメリカンドリームを超えた何かを感じさせる作品に仕上がっているのはやはりマイケルダグラスの迫力かな? 妙な脚色はせずに、あるがままに映像を作っていくオリバーストーンもなかなか良い。 デヴィッド・フィンチャー フェイスブックを立ち上げたハーバード大学生の物語。もちろん実話である。しかも最近の実話だから思い切った脚色が出来ない面もあるが、その割りに各人の個性がきっちりと表現できており、分かりやすかった。この物語を見て若者が夢を感じるのか面倒臭さを感じるのか・・・つまり燃えるのかため息をつくのか・・・それが知りたいものだ。少なくともじょしゅは途中3回は寝ていた。 クリントイーストウッド プーケット島の津波で臨死体験をしたパリの売れっ子キャスター、双子の兄を亡くしたロンドンの少年、自分の霊能力に苦悩するロスのジョージ(マットディモン)・・・この3人を最後に運命が結びつける・・・この手の作品にありがちなウソくさい演出が無く、実に淡々とストーリーが展開してゆくが、決して退屈なわけではない。自分の能力を呪いと感じていたジョージが最後にその能力で幸せを見出す・・・誰かのために何かをすると何かが返ってくる・・・ってことかな? フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
この監督の名前、長〜い。最後のどんでん返しは久し振りに騙された感じで面白かった。最初からストーリをよく考えると、少しおかしいんだけどね。行ってきたばかりのベネチアの景色が背景となった映画なので違った意味でも面白かったが、それにしてもアンジーは今やアメリカンの代表的スターだね。映画の中でさえも少し浮いている感じ。昔はもう少し「芋」っぽかったんだけど・・・いや、失礼、でもそこが好きだったんですよ。 トム・フーバー こんな分かりやすい映画も少ない。それでいてなんとなく引き込まれて見てしまうのは、誰しもが持っている「緊張した時にアガッてしまった経験」のせいだろう。私も以前は人前で話すのが苦手だった…自分に自信が無かったからだ。弱点を克服するということは、実は、誰の人生においても大変有意義な行動なのだが、ジョージ六世の場合は絶対的に逃げ切れない状況があったわけで、まさに自分自身を賭けた大勝負を挑む必要に迫られていたのである。 ミカエル・ハフストローム ミナマリとじょしゅで一緒に見る。ヴァチカンという国はキリスト教の総本山だけあって「悪魔祓い」の職業としての講座があるんだそうだ。映画としてはアンソニーホプキンズの名演でそれなりに真実味のある作品となっているが、そもそも「医学的な病気なのかそれとも本当に悪魔の仕業なのか」という部分をもう少し証明的に語っていれば良かったかな?信仰心の薄い私から見ると、人口たった800人弱の狭い国に閉じこもってこんなことばっかりやっているとこんな風になっちゃうこともあるんだぞー、なんて感じ? ジャウマ・コレット=セラ リーアム・ニーソンはご存じシンドラーズリストでシンドラー役をしましたね。やはり存在感のある役者です。Unknownとは行方不明者という意味で、最初日本語タイトルにもなったが時節柄アンノウンとなったということらしい。いくらなんでもここまで覚えていないってことはないだろう!とも思うが、ガッカリするほどの結末ではない。カーチェイスやら格闘やら…サスペンスというよりどちらかというとアクション映画といったほうが適切かもしれない。 ダーレン・アロノフスキー 怖い映画である。成功への願望、嫉妬、競争が生む恐怖と憎しみを接近撮影で表現しているからついつい引き込まれてしまう。てっきり元ダンサーかと主人公のナタリーポートマンを見ていたが、れっきとした女優らしい・・・。それにしてもすごい演技をするものだ。アメリカ映画の作品そのものは結果的につまらないものが多いが、そこで演技している俳優は素晴らしい・・・と、いつも思う。 グレッグ・ストラウス ストーリーも無く、メッセージも感じられない全くのクソ映画でした。見る価値なし。 J・J・エイブラムス 上記スカイラインの二の舞を懸念したが一応スティーヴン・スピルバーグが制作ということで見た。映画を製作する子供たちが事故を目撃するところから始まるが、面白かったのはそこまで。あとはお決まりの「あり得ない」ストーリー展開が待っている。ただ、映像的には出来栄えは良かった。 マット・リーブス 原題”let me in”(私を中に入れて)。スティーヴンキングが傑作と言ったとか言わないとか書いてあったので観ましたが、いやいや、どうして…結構面白かったです。陳腐なストーリー展開に陥りがちなバンパイアものを結構昇華させて作り上げていると思います。ただグロイ場面もあるので「不思議な力を持った女の子がいじめられた少年の仕返しをする映画だよ」とじょしゅを騙して連れて行きました。 テレンス・マリック ブラピとショーン・ペン…何かを期待して観に行ったが特に心を打たれるシーンが無かった。心に残る少年期の苦悩と葛藤を抱き続けて、大人になってもそのトラウマから逃げ出すことができないにも拘わらず、家族愛をも捨てきれない…そんな感情を描くなら、はっきり言って恐竜まで登場させなくてよい。いや、恐竜は却って観る者に違和感を与える。こんなことは天地創造から丁寧に見せなくても良いのである。 ジェームス・キャメロン 洞窟探検の話。洞窟どころか迷路のような地底湖に潜るという、閉所恐怖症の私には全く窒息しそうなとんでもない映画である。こんなことに金と時間を費やす人間の気が知れない。実話をもとにとあるが、生き残ったのがたった一人だから、何もかも正確である保証が無い・・・このことに逆に恐怖を抱く。ただ、映像はリアルで、冒険モノとしては完成されている。 ルパート・ワイアット じょしゅとミナと三人で観に行ったが、なかなか面白い映画だった。特撮にも円熟味が感じられ、ストーリーが理論的である。ただ、最初の猿の惑星は確か原爆→放射能で人類が滅びたのではなかったかな?この先第二話が作られるのだろうがそこでどういうストーリーに持っていくかが興味深い。動物と人間の違いがどこで分かるか…それが目であることに気づかされるのもこの映画の面白い所である。 平日にキョンを保育所から連れ出し、二人で観に行った。「プリキュアを見たことは内緒だぞ!」と言ったら、会う人みんなに「プリキュア見てないよ!見に行ってないよ!」と言いふらしていた…やれやれ。 三谷幸喜
勿論映画にはそういった面があることは否定できないが、この手の映画の多くがあまりにも役者のキャラクターに頼りすぎていないか?脚本段階から役者を想定して作り、その役者たちも作っていく段階で悪ふざけしながら映画が出来上がっているような気がする。作っている本人たちはそりゃ楽しいでしょうが、見ているほうはなんだかバカバカしくなってきて…結局中盤で寝てしまいました。 スティーブン・ソダーバーグ この映画はなかなか出来が良かった。何が良かったかというと、ストーリーの必然性がすんなり頭に入ってくるところが良かった。画面も抑えて作ってあり、俳優もマットデイモン、ローレンス・フイッシュバーンなど渋い演技派がしっかり役をこなしている。新種のウイルスが世界的に広がっていき、やがて血清ができるまでを描いているが、なんといっても[DAY 2」から始めているのがイキな演出なのである。 スティーブンスピルバーグ 原題のチンチンの冒険ではまずいと思ったか、タンタンになっていますね(笑)。モーションキャプチャー技術もますます進んでアニメが実写にいよいよ近づいてきた感がする。わざと漫画チックにしてあるだけで、これを実物に限りなく近づけることは多分可能なのだろう。となると、実際映像にはできないような場面が作れてしまうということになり、そういった意味では将来的な映画の可能性の広がりを感じる。誰も見たことのないような映画を期待したい。