映画の話 2010
最近映画見なくなったな・・・面白いと思う映画が少ないのがその理由だが、それは自分の心に感動する要素が減ってきているということかも知れない。見れば見るほどマンネリ化してしまうという観客と作れば作るほどマンネリ化してしまう製作者に新風を吹き込む作品を期待する今日この頃だ。
<2010年度観た映画>
監督/題名 one-shot 論評
ジェームス・キャメロン 凄い勢いで目の前に爆弾が転がってきたのをつい頭を傾けてよけてしまう・・・こんな凄い映画は初めてだ!。もうこれからの映画は3Dだね。ストーリーもややありきたりだが面白いし、なんと言っても状況設定とキャプチャーパフォーマンスを使った映像技術が凄い。結局人は本当に新しいものに感動し、それを賞賛する。ただ売れっ子俳優を使っただけの空しい映画を観すぎていた私にはとにかく衝撃的でエキサイティングな、楽しい映画であった。 クリント・イーストウッド クリントイーストウッドの監督映画は100%当りだね。実話を映画にしただけなのだが、「グラン・トリノ」と同様象徴を冠するセンスが素晴らしいと思う。反アパルトヘイト運動で29年もの間獄中にいたマンディラが私怨を捨てて国のために、ラグビーというアングロサクソンが大好きなスポーツを通して白人との和解融合を目指すのだが、そしてその年に開催されたワールドカップの決勝戦でなんと(本当に)あのオールブラックスを破ってしまうのだが、そこには共通してマンディラが獄中出合った『負けざる者たち」という意味のINVICTUSという題名の詩があった・・・というニクイ演出がこの映画のバックグラウンドなのだ。 キャスリン・ビグロー なんと言ってもオスカーに輝いた作品ということで、最初から「この映画のどこが?」という期待と観点で観てしまう。そのせいか見終わってみると、はっきり言って「この映画のどこが?」と思ってしまった。良くアバターと比較されて映像はアバター、ストーリーはハートロックと騒がれていたが、この映画に際立ったストーリがあるわけではない。私的にはアバターのほうがずっと興味や興奮を与えてくれる作品だと思う。爆弾処理という内容と近撮による緊張感は確かにあったが、どちらかというと淡々としたアメリカ映画らしくない内容であった。 マーティン・スコセッシ この映画、あまりに最初から仰々しく「謎解き、謎解き!」とやってるもんだから、裏読みながら見ていたら…開始45分ほどで基本的な謎が分かってしまった。終わってみればよくあるトリックで、今までにもそんな映画はいくつか思い出される。シックスセンスのストーリーって覚えてる?ま、最後のデカプリオの言葉で少し許せるけどね。それとデカプリオって歳をとってなかなか味のある男になってきたね。 ニール・ブロムカンプ 南アフリカのヨハネスブルグに故障のため宇宙船が停泊し、わけの分からんエイリアンが住み着くことになって20年・・・という今までとは少し毛色の違った設定からスタートする。で、いろんなことが起こり、いろんなヤツが登場し・・・で、何が言いたいの?って感じで終わる。ま、娯楽映画に思想を求めても仕方がないだろうが、たとえチンケなメッセージであろうと演技でもいいから(笑)何が言いたいのかだけはしっかり伝えて欲しいものだね。 リチャード・ケリー 「運命のボタン」とかいう題名。キャメロンディアスが主演。はっきり言ってサスペンスともオカルトとも判別できない意味不明の作品。強いて言えば「一億円で人が殺せるかな?」という命題が感じられる程度である。
なんだか中途半端で短い映画だった。あの毛利さん監修ということで3Dで宇宙やら世界遺産の美しい映像を期待していたが映像もさほどでもなかった。しかも40分程度の長さで、 あっという間に終わってしまった。 アレン&アルバート・フューズ 最後の本ってのが聖書だっていうのはすぐに分かるんだけどね、私はキリスト教じゃないんでその重要性が分かんない。ましてやそれを治安維持に使おうとする輩が悪人どもを使って奪おうとする…という発想も分かんない。だからせっかくのラストシーンもいまいち感激が湧かないんだよね。ま、悪人どもをバッタバッタと切り捨てるシーンはスカッとするけど、聖書じゃなくて他の物のほうが却って面白かったんじゃない? クリストファー・ノーラン 他人と夢を共有しそこで秘密を盗むことが出来たら・・・と作者は考えたんだろうね。見ていてユングの無意識の理論を思い出していました。他人とは無意識の領域で共有している部分がある・・・というアレです。映画ではそれを夢として表現しているので少し理論的に妙なことになっているが、ま、デカプリオ、渡辺謙はじめ役者の熱演でなんとか格好がついている、と論評しておこう。 フィリップ・ノイス アンジーのアクションにじょしゅがすっかりその気になって、映画館を出る時は肩で風切って歩いていました(笑)。いくらなんでもここまでのトリックは現実的ではないけれど、そんな凝りに凝ったストーリーよりテキパキとした映像展開がこの映画の見所である。それにしても周りの男たちが弱すぎ…いくらなんでもヤラレ過ぎである。しかしまあ、美人には違いないから、とりあえず許してやろう。 マークブラッド 適当に作ったお遊び映画。ブルースウイリスは出演料が高いはずだから、絶対に赤字だろう。アクションでもなく喜劇でもないどっちつかずのB級映画に仕上がってしまったのはブルースウイリスがアクションスターを経て自分自身の新しいキャラクターを作り出せないからである。ロバートデニーロやショーンコネリーが変わったように自分自身でそれを作り出さないで、いつまでも中途半端なことやってると、そのうち消えるぞ! ライアン・マーフィー ジャーナリスト、作家のエリザベス・ギルバート本人の実体験を原作としてジュリア・ロバーツが主演(本人がやってみたいと言ったらしい)。人間のあくなき知的探求欲をバックボーンに食欲と性欲と精神浄化を探求する旅に出るという話。明確な結論が出ていないのが良い。妙に低いレベルで妥協を見出すこともなく、といって崇高な意思決定がなされるわけでもない。けっこう淡々と旅行が続き、イタリア、インド、そして最初に行ったバリ島にたどり着く。結局人は同じことには飽き、常に変化を求めてゆく。そしていつしか旅を始めた同じ場所にたどり着くのかもしれない。 ケヴィン・グルタート SAW友(笑)の美奈と見た。じょしゅと真理は同じ映画館で他の映画を観るというパターンである。何故3Dにしたのか分からない・・・と言うよりわざわざ重たいめがねを掛けて見るほどの3Dではなかった。総集編、ファイナルということだが今までのシリーズを完璧に説明しているわけでもない。ついにネタが尽きて、今までの場面をこじつけて総集編にして最後のひと儲けをたくらんだのだろう。さすがにこれで最後かと思ったが噂では映画としては続くという話もある。 松本理恵 キョンと観る映画はコレしかない。こんな映画を観たのは自分としても初めてで、なんだかドキドキする。花の都パリのファッションショーに行ったプリキュア連中が狼男に変身する少年と出会い、愛の力で更正させるという涙ぐましく感動的な話だ。ヘタな映画より混んでいる。子供に親がついてくるから人数も倍になるのだ。 サム・テイラー・=ウッド 母に捨てられてミミ叔母さんに育てられていたジョンが近くに住んでいた母と再会しギターを覚え、クオリーメンを結成するまでの話を描いている。こういう映画を観ると、ジョンレノンってのはもう伝説中の人物になってしまったんだなぁ…という郷愁に似た想いが湧き上がってくる。私の青春も同時に遠く彼方にぼんやりし始めた。当時の気持ちはまるで昨日のように思い出すのだが、精神がついていかない。あらゆる経験は本当に人を幸せにするのだろうか。 森田芳光
少し変わった時代劇ということで見てみたが、場面のツギハギ感が強く、しかもまったく抑揚の無い作り方で、つまりコレは原作や配役以前に脚本がダメという感じを強く受けた。少し脚色も加えてもっと面白おかしくするとか、展開や構成も何とかすればもっと見ごたえのある作品になったろうと思う。見ている間中退屈だった。