映画の話 2003
それにしてもアメリカのハリウッド映画の全盛である。昔はイタリアとかフランスも頑張っていたが、今では上映すらされない。邦画も同様である。見たいと思っても上映されなかったり、たとえ上映されても一日2回だったり、それも昼間だったり・・・。ハリーポッターなんてガキ映画が一世を風靡したりしているが、完全に前宣伝とラドクリフ君のコギャル人気に頼った、いわば作られたヒット作だ。ファンタジー映画が嫌いなわけではないが、第一作を見て、二作目を見る気がなくなった。最近の映画は押しなべて前宣伝が勝負のようだ。同じ映画を何度も見る人は少ないわけだから、つまり、いかにまず観てもらうか…ということでプレヴュー勝負になってるわけだ。
いい映画が見たい・・・と思うが、なかなか感動したり興奮する作品がないのが現実だ。
<2003年度観た映画>
題名 主演など 寸評
k−19 ハリソンフォード この映画の面白みはなんと言ってもロシア海軍の潜水艦艦長を、コテコテのアメリカ人であるハリソンフォードが演じるところであろう。作り方もアメリカ的で、もちろん堂々と英語で喋っている。違和感を通り越して喜劇的である。 ギャングオブニューヨーク レオナルドデカプリオ キャメロンディアス
アメリカ建国黎明期の終焉の混乱を描いた作品で、強いもの勝ちの世の中は何故か血沸き肉踊る。1860年代のほぼ実話であるが、このころペリーが日本にやってきたのは驚異的な出来事に感じられる。それにしてもそれから140年余。世界の変わりようは尋常ではない。 ゴーストシップ まぁ、あまり期待しないで見ていたが、やはり取り立てて論評するほどの作品ではなかった。ただ、海の恐怖というのは私の好きなテーマだから観たのである。 黄泉がえり 草薙 剛 もし愛する人が生き返ったら…こんな設定がなかなか面白い。見ている人の誰もがもし自分の周囲でそれが起こったら自分はどうするだろうか…と考えてしまうところが面白いのである。 イナフ ジェニファーロペス 途中までは暴力夫から逃げ回るだけの映画かと思っていたが、どうしてどうして、ジェニファーロペス扮する妻が非常にアメリカ的な選択をする。つまり「自分の身は自分で守れ!」というわけだ。痛快で面白かったが、真似されても困るぞ。 レッドドラゴン エドワードノートン あの名作「羊たちの沈黙」の復刻版だ。しかも復刻版としてはなかなか上出来であった。最後にこのストーリーが「羊たちの沈黙」につながっていることを分からせて終わっている。美人のFBI職員とはジョディーフォスターのことなのだ。 ストーカー ロビンウイリアムス ロビンウイリアムスという役者はこういう役にはピッタリだ。人が良くて寂しげで偏執質で思い込みが激しくて…どこにでもありそうなこの話は日常の恐怖をも描いている。 戦場のピアニスト 感動した。何に感動したかというと、廃墟の中で演奏されたピアノ曲に感動した。延々と続くナチのユダヤ人迫害シーン、逃げ回り、身を隠すピアニスト…すべてがこのピアノ曲一曲に凝縮されていて、素晴らしかった。最後の最後まで映画を見た(聴いた)のは久しぶりである。 ロードオブザリング イライジャウッド 今回の第二作目(二つの塔)は一作目よりも迫力満点。なかなか面白かった。とくにスメアゴル族のゴラム…このユニークでファニーなキャラクターは今回の目玉である。上映時間の3時間が長く感じられなかった。 ボーンアイディンテティー マットデーモン 日本語では良く分からない題名である。とくにボーンというのは生まれるなのか骨なのか…と思っていたら、ボーンというのは主人公の名前で、アイディンテティーは証明(書)だから、つまりは記憶を失った男が自分が何者なのかを知ってゆくというストーリーなのです。テンポが良くて面白かったです。 キャッチミー イフユーキャン レオナルド デカプリオ スティーヴンスピルバーグの監督でトムハンクスも出演なら面白くないはずが無いのである。パンナムがなぜ潰れたか良く分かったが、これが実話とは・・・本当かよ!って感じ。今も生きているらしいが、「芸は身を助ける」とはまさにこのことである。 アナライズユー ロバートデニーロ アナライズミー同様やくざの喜劇である。ロバートデニーロの持つこわもてキャラの裏のひょうきんさが実に面白かった。映画が終わった後がまた大笑い。すっきりした気持ちで家に帰ることができる。この次はきっとアナライズヒム・・・かな? シカゴ レニーゼルウィガー リチャードギァ扮する弁護士と、ちょっとだけモンローに似たレニーちゃんの監獄ミュージカル。1930年代ぐらいを描いているのだと思うが、感覚は今のアメリカの価値観が感じられる。それともアメリカって昔からこんな国だったの? アイアムサム 最近まで観たい映画が無かったのでレンタルビデオを借りてきては観ていた。今やレンタルも5本で1000円程度だから一杯借りてくるのだが、やはり観方が駄々草になってくる。途中で寝てしまったり、観るのを止めたり・・・。やはり映画は劇場で見るべきものである。その中で見損ねた映画であるこのアイアムサムは、バックグラウンドがビートルズメロディーということもあって、面白かった。佳作である。 ザ・コアー 上記の続きだが、この映画はたぶんレンタルビデオで観たら寝てしまうだろう。迫力ある重低音のスペクタクル映画は映画館でこそ価値がある。ストーリーも地球破滅を救うために地中深く潜ってゆき、そこで勇敢な犠牲者を出しながら最後は主人公の男女が生き残る・・・という型にはまったものであるが、それなりに面白かった。 8マイル ラップという音楽の原点が分かり、それなりのカルチャーショックを受けた。口喧嘩を音楽に変化させてしまうブラックパワーが楽しく、また素晴らしい。日本語で訳される歌詞では本当の良さが分からない…コレがこの映画のもどかしいところである。 パイレーツオブカリビアン ディズニー映画は寅さん同様安心して観ていられる。ただ今回はやたら戦闘シーンが多く、目的地にたどり着くまでの過程が省略され、いつものワクワク感が多少欠けていたのが残念だ。 アイ 恐怖映画の上映中に怖いシーンで近くの観客に目を向けると、両手で顔を覆ったり、下を向いている人がけっこういて面白い。香港で作られたこの映画はただいたずらに怖がらせるだけではなく、ストーリーがしっかりしているので入場料を払う価値がある。 天使はこの森でバスを降りた 切なく美しい物語だった。観終わった後に何かが心に残り、何かを考えさせる・・・そんな映画が良い作品だと言えるのかもしれない。 アダプテェーション ニコラスケイジ 一人二役のニコラスケイジが見処かな?ストーリーの仕立ては面白いが、とどのつまりは・・・一体何なの?って感じ。それにしてもメリルストリ−パーという女優は確かに独特の雰囲気を持っている。 ドラゴンヘッド 実は漫画嫌いの私が読んだ数少ない漫画のひとつだ。非日常の世界が見たくて観たが、こうして映画にしてみると太陽のまったく見えない灰色の映画になっている。原作と比べてずいぶん物語が短く切り取られているのは時間から言ってしょうがないか・・・。 SWAT コロンビア映画にでてくる電気製品はSONYばかりだ。それはさておき、迫力ある絵作りにはなっているが、ストーリー的に見ると???である。私としては正確無比な狙撃隊の仕事振りを見たかったわけだが、この展開では主人公たちがスワットである必要があまりないのである。 マッチスティックメン ニコラスケイジ 詐欺師の話。よく考えたらポスターに「あなたはきれいに騙される」とあったが、最後の最後まできれいに騙されてしまった。ぼんやり見ているとこういうことになる・・・しかし、ゆえに…面白かったですよ。 アイディンティティー 非常に面白かった。最初は何がなんだか分からなかったが、途中で「あれ?」と思い、それでもなかなか意味がつかめず、最後のほうになって突如氷解する・・・そして最後のシーン。これは絶対にお勧めの映画である。 リーグオブレジェンド ショーンコネリー ショーンコネリーというブランドに騙された。この映画はきっと20世紀フォックスがディズニーに頼んで作ってもらった映画で、その上制作費をケチったものだから、とんでもない中途半端な仕上がりになってしまったのだろう。あまりのまとまりの無さに途中で寝てしまった。映画館で寝るというのはよほどのことである。